平成凸凹ロード爆走記録

【結論】令和に平成ライダーにハマりました。

Twitterに生息している人間として、特撮の話題というのは非常に身近にあると思う(諸説あり)。
ドラマや映画などの国内の映像作品に触れると特撮出身の俳優さんにはすぐに出くわすし、ネットミームも特撮由来のものが多い。ライダー履修前の私は、たとえばエグゼイドについてはストーリーなどを詳しくは知らないけど「宝生永夢ゥ!」って言う檀黎斗神(なんで神?と思ってた)がいること、ざっくり医者でゲーマーのライダーなことは知っていた。
あまりにも隣にあるジャンルであり、かつシリーズが豊富なことで、正直、手を出すのに勇気がいるジャンルだなと思っていたのである。

そんな私が、令和二年の10月下旬に突如として劇場版仮面ライダージオウ Over Quatzerを視聴することとなった。しかもその理由は「動画配信サービスのレンタルチケットが余ってたのでなんとなく」である。
人間、なんとなくで動くと大抵大事故になるし、しかもその判断をしているときにはこの経験則を忘れているのだ。

 

目次

 

ジオウOQと私の出会い

 

そもそも、私とOver Quartzerの出会いは去年の夏まで遡る。

令和元年2019年の夏、Twitterの私のTLには突如として「平成」「平成の私物化」「お前たちの平成って醜くないか?」というワードが溢れかえっていた。
令和の世に平成、ラスボスのISSA、P.A.R.T.Y……平成って何?と言いたくなるような脳が理解を拒むツイートがたくさんTLに流れてくる。正直興味しかなかった。だって面白そうじゃん!
発信源は主に特撮とトンチキ映画界隈。少し調べると、仮面ライダーの映画の話をみんなしてるんだなというのは理解できた。
令和の「平成」が浴びれる仮面ライダーの映画、どう考えてもトンチキの匂いしかしない。履修したら絶対楽しくなれるに違いない。そう考えていたものの、当時の私は1年間放送してるTV番組の続きである映画を観に行くのになかなか積極的になれなかったのだった。実際、映画館に行くと見かけるライダー映画のポスターを見て、「今見ようとしてるやつとハシゴできる時間かな?」って考えるに止まっていた。いわゆる「観れたら観る」という気持ちでしかなかった。
そうこうしているうちに公開期間は終わり、令和元年から二年となりコロナ禍へと突入していった。ここで私と平成のトンチキ映画の縁は切れたと思っていた。甘かった。

飛んで令和二年10月下旬、動画配信サービスのレンタルチケット(期限切れが近い)を手に入れた私は、とにかくトンチキな映画が見たい!と思った。トンチキで楽しいお祭り映画が見たい、と。
国内外映画のいろいろなタイトルが思い浮かぶ中、ふと思い出したのがOver Quartzerだった。そしてチケット使用可能映画として検索をかけると、無事ヒットしたのである。ここが私の歴史の転換点だったと思う。

そこからずるずると仮面ライダー履修の道へと引き摺り込まれてしまった。
約2ヶ月で10シリーズという自分でもなんでここまで生き急いでるんだろう?というペースで履修を進めている。

こんなハイペースで長いシリーズを追ったのは初めての経験で、前置きは長くなったが、せっかくなので平成初心者の凸凹な道のりについて記したいと思う。
まずはきっかけであり刷り込みで親だと思っているライダー、ジオウから書いていく。

ジオウを履修するまでの流れ


劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer

私が平成ライダー履修をすることになった元凶、原因であるこの映画、なんと1時間しかないのである。
普段見ている映画が90分〜3時間なので、1時間で全てを終わらせなければいけないという制約に、まず初めに驚いた。たしかに子どもも見る映画であるし(むしろメインターゲットである)、戦隊との二本立て上映でもあるのであまりにも長すぎると飽きてしまうという懸念があるのだろう。
その制約の中で、前半に戦国時代へのタイムスリップ、後半に平成の吸い上げがあるという超ハイペースな話となっているのである。そりゃキマるわけだよ。

平成ライダーは設定がバラバラなので記念のライダーであるジオウにまとめることにした」というあまりにもメタなネタが出てきたのにはだいぶ困惑したし、檻の中の仮面ノリダーも平成を私物化してるDA PUMPもよくわからなかった。でも、仮面ライダーの文脈を理解していない私からみてもこれまでの平成仮面ライダーの歴史に対する愛と讃歌であるのは十分に理解ができた。でこぼこの道でなにが悪い!そうだそうだ!!
ウォズの本から溢れる平成の歴史とその鮮やかさに胸が熱くなったが、最後のキックはなんであんなことに……

「平成」を題材に純然たるトンチキをやっているのだけれど、それに対して真摯さがありブレやノイズが少ないのですごい作品だなと思う。こういうところが令和の世なのに平成へと引き摺り込む引力が生まれる要因なのか。

 

仮面ライダージオウ(本編)

Over Quartzerで気をおかしくした私が、YouTubeに上がっているジオウ1、2話を見たのがある意味本当の始まりだったのかもしれない。
ここで「さらに続きが見たい!」とならなければ、テラサならジオウ見られるみたいだから試しに登録してみようとならなければ、平成ライダー履修マラソンを走ることにはならなかったのだから。

私にとってジオウの魅力的な点はキャラクターと話の構造だった。

ジオウは平成ライダー20作品目の記念作品となっているので、これまでのライダーとのクロスオーバーを中心とした構成になっている。2話ごとにレジェンドライダーが出演して、彼らから受け継いだ力で戦っていくというのが序盤の流れだった。
つまり、「TLでなんとなく名前を見たことがあるキャラたちが隔週変わりで出てきてくれる」ということであり、特撮ジャンルの受動喫煙を長年にわたってし続けていた私にとってはとてもとっつきやすい構成だったわけだ。
実際、ビルドのベストマッチな2人が1話で出てきた時にはまんまと「これってフォロワーが好きなライダーの人たちじゃない!?」という気づきを得ていた。そもそもジオウの主人公たちに対しても例外ではないのだが。

なんとなくミリしら状態のキャラクターが出てきて、ざっくり彼らのことを知ることができる、TLで回ってきたスクショのアハ体験ができる、そこが2話までで猛烈に私が惹かれたポイントであった。ビルド編では「よくわからない式」のスクショを2年ぶりに理解することができたし……
こうした点により「エグゼイド編も見よう!よし、テラサに登録するぞ!」となったのだった。

ジオウは歴史改変モノの定石を踏みつつ、それでいて「主人公が魔王となる未来を阻止する」がメインテーマとして置かれているのが割と好きな部分ではある。そしてその魔王という要素に「20作品目」というお祭り要素をスッキリまとめているのが上手い味付けだなと思う。
そしてなによりソウゴを中心とするメインの登場人物がトンチキ織り交ぜつつ真っ直ぐ前向きであるので、平成の受け手としてよく機能しているし、前向き(?)な破壊と創造が描かれていて面白い。

ソウゴの「王様になる」という突飛な夢が回を重ねていくごとにどんどん「彼は本当に王となるのでは?」という確信へとつながっていくのは彼の魅力である。しかし彼が見ている世界は広いようでいて手を伸ばせる範囲でしかない(自分の仲間が死んでしまった結果世界を破滅させて再生させる)ため、「魔王」という肩書きが最適であるというのも話を追うごとに理解が深まっていくのだ。
彼の天真爛漫でありながらも結果的にそれだけでない人間性がジオウという軸を作りここまで私にとって魅力的な作品になっているのかもしれない。
新しいライダーの作品を見てはもう一度見返しているので私はジオウから離れられない気がする。

 

その他スピンオフ

・RIDER TIME 仮面 ライダーシノビ
3話しかないのもったいなくない!?正体を隠してシノビとして活躍する正統派なヒーローでありながらも、主人公周りでドタバタラブコメをやっていて、気負わず観れるのでとても楽しい。
短い話数にまとめるので、大規模な話と見せかけて超小規模な内輪の話に落とし込んでいたが、コミカルで明るい作風とマッチしていて拍子抜けというよりも笑って楽しめるようになっていたのが上手かった。
続きが観たいよ……シノビ様に会いたい………

 

仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ
本編後、わくわく学生生活バースに突入したが…?というところから始まるVシネゲイツ
無職2号ライダー(諸説あります)と堅実な職業の2号ライダーに挟まれ、「自分は何になりたいのか」に向き合うゲイツという構図はめちゃくちゃ面白かった。人選に意図を感じるんだが?
海東がゲイツの記憶を思い出させたのに対しては「なんでそんなことするんだよ!」ってキレていたが、まあゲイツは本編では最後に一度しか「ソウゴ」と呼べなかったのに、記憶を思い出したおかげで何度でもソウゴと呼べることになったので、そのことに関してはよかったねってほっこりしてしまった。嬉しそうな我が魔王に5億点!
このVシネで1番嬉しかったのはやはりツクヨミが変身して敵と戦ってる姿がしっかり映ってることだった。本編、尺が溢れたのかツクヨミのライダーとしての戦闘なかったもんね。
ツクヨミがライダーとして敵をボコしてるところ見たいので、Vシネツクヨミを何卒……

 

過去作の履修感想


ジオウをカタログ的視聴してから過去作に遡っていったため、以下の過去作感想はジオウレジェンドライダーの出演回で気になったことをはじめとして書いていきたいと思う。
順番がバラバラなのは、フォロワーに勧められるがままに見ていったから。ありがとうフォロワー!

ビルド

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→「ツナ義ーズ」がなにかは理解できたが彼らがオタクしてる理由はよくわからなかった

 

ジオウで見た彼らの事前情報と「スターク」というキャラがいること、そしてなぜか武田航平氏が出てくることは把握していた。事前準備万端なのでは!と思いつつ挑んだビルド。
「我が国は、東都、西都、北都の3つに分かれ、混沌を極めていた…… 」Twitterでよく見かけるコラ画像のやつだ!と早速アハ体験をしてしまった。

人体実験によってライダーとなるモチーフ、国を分つ壁(外的要因で発生したものとはいえモチーフ的に生まれで分断されてしまうものを出すのは大丈夫か?とは思った)、科学者の死の真相から国家の紛争につながる設定、骨組みから既にシリアスでハードな物語でありジオウとの温度差でどうにかなりそうだった(そもそも元々の仮面ライダーは改造人間であり敵とほぼ同じプロセスを経て仮面ライダーとなっているわけで、そこを踏襲しているので当然のハードさではあるのだが)。そしてそんな重い話が続く中、序盤で裏切ったやつが平気でOPでぴょんぴょん飛んでてさらに驚いた。裏切りが発覚したら差し替えになるかと思ったら結構長くいるんだもんな。

コミカルな演出もありつつも基本的には暗く重めな話の展開をするビルドで、科学の功罪と力の代償が容赦なく描かれているのが興味深い点だった。中でも21話が特に印象に残っていて、その話ではハザードトリガーを使用した戦兎が意識を奪われた状態で青羽を殺してしまい、罪の意識に苛まれるというシーンがあった。自分の身にあまる力を使った代償として、命を守る側である自分が誰かを殺してしまうという恐怖と絶望を叩きつけてくるのである。日曜朝に見なくてよかったなと思ったし、リアタイしてた人達大丈夫だったんですか……
青羽に責められる幻覚を見るまで憔悴する戦兎、ニチアサというより韓国ノワールじゃない!?って演出で非常に驚いてしまった。

メインキャラクターがほぼ成人であり、年齢が高めのライダーかつ相手にしているのが国であるので、希望と絶望の高低差が大きく、追い詰められ方、心の折り方のスケール感が独特だなと思った。まあだからこそ最後の新世界でのバディものの夢みたいなエンドが輝くんですが。

2つの素材を混ぜて変身するライダーの話が2人の男が出会って再び出会うまでのバディものなのは、要素として徹底されてて「ブレがない!」と思ったのでした。

 

劇場版 仮面ライダービルド Be The One
ゾンビを使わないゾンビパニック映画のような作りでびっくりした映画。そんな話だとは知らなかった。
本編ラストにも出てくるが、戦兎と万丈の合体フォームに対して「今回は2人なんだ〜」くらいのテンションだったのは確実にジオウトリニティで感覚が麻痺してたからだと思う。

 

・平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER
「平成」に対する総括をメタフィクションで出してくる、優しく愛のある映画で、きちんと平成を履修したらもう一度見直したいなと思う一作だった。OQと近くありながら正反対にあるような感じだよね。メタフィクションの使い方が違うとこうも受ける印象が変わるのか。

 

・ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ
(ほぼ)無から生える女に「無から生えた!!!」ってびっくりしていたら終わった。

 

・ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス
ドルヲタ、推しと付き合うってよ、が本当になった!というTLの呟きがようやく理解できたVシネグリス。短編ラブコメが伏線になっているの面白い回収の仕方で楽しくなってしまった。
グリスの活躍はもちろんのこと、天才物理学者が倫理観ヤバヤバなことがダダ漏れになってたのがとてもよかった。人として最低な彼がわりと好き。

 

エグゼイド

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→作中でも定期的に顔が死んでいた

 

ジオウによって檀黎斗王という変化形態があること、永夢先生とその先輩に男大門未知子みたいな外科医がいることは理解し、履修することになったエグゼイド。
ゲーム×医療というテーマの上で仮面ライダーをするというかなり特殊な設定でありながら、「人の命を救う」ということを第一に考える主人公を中心に話が進んでいくことで、軸がブレずに楽しめるストーリーとなっていたように思う。

エグゼイドで面白いなと思った点は、永夢はもちろん、クセの強い外科医、闇医者、嘘つきの監察医、そしてバグスターに至るまで、ほぼ全員「真面目」なのである。医者サイドは、命を救う/救えなかった命を救えるように未来へ繋げるという職業の意味合いがキャラクターに非常に強く出ているため、飛彩先生は大我のオペで失敗したりすることはなかったし、彼らに露悪的な行動があったとしても最終的には正しさへと繋がっていくのである。
また、バグスター側という敵側も例外なく真面目で、それはゲームというルールを遵守した上で楽しめるものという枠組みの中のキャラクターであるということなんだろう。飛彩先生の恋人の記憶があるグラファイトも、彼の設定的に記憶の断片を繋ぎ合わせてポップコーン片手に飛彩クソdisり上映会とかやってもいいもののしなさそうな真面目さがある。

そんなゲームの「ルールに向き合う」ことと医療の「命を救う」という二つの要素に共通する真面目さ/真摯さがエグゼイドの世界を支えていて、だからこそ檀黎斗というイレギュラーが際立つようになっていたのではないか。

初期の彼が明るくひたむきな研修医であったので、ジオウの彼の顔の死にっぷりは悪い夢か本編から時間が経ったことによる影響なのかと思っていたが、話が進むにつれてそうじゃないことがわかっていったのはとても面白かった。
中盤から容赦のない永夢は随所に出てくるようになるが、中でも「死」に対する理解がないパラドに対してハイパームテキで死を叩き込む場面での容赦のなさと笑顔が消えた表情には恐怖を通り越したなにかになってしまいそうだった。そして彼の異常とも取れるまっすぐさには魅力を感じずにはいられなかった。
まっすぐさ/真面目さも突き通し過ぎればそれはイレギュラーであり、ある意味檀黎斗と永夢は正反対でありながら同じであるという構造に思えて、彼らの話としてエグゼイドはとても楽しむことができた。

 

・劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング
コスプレ運動会に動揺した記憶がとても強い。というかそれ以外の記憶がおぼろげ(ごめん)。

 

仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー
エグゼイド最終話に突然現れた当たり屋ビルドが、戦兎ではなく葛城巧だと発覚したのがまず驚きだった。それぞれの相棒が分断されて2つの世界で話が進んでいく手法は、クロスオーバーものとして楽しかったし、エグゼイド組とビルド組の関係性の対比がかなり面白かった。
しかしエグゼイドまでのライダーしか履修しない状態で見始めたので、突如としてオーズ組劇場が始まったのには動揺して置いてけぼりを食らってしまった。
「映司 アンク」で検索して概要を調べようとしたらサジェストに「重い」と出てきたときにはだいぶ笑ってしまったが……

 

仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング 仮面ライダーブレイブ&スナイプ
飛彩先生の恋人に対する思いと、ニコちゃんに対する大我の保護者的な庇護対象を前提にした関わり方の対比がうまいし、それぞれの関係性についてきちんとアンサーがあったのが個人的に好きだなと思った点だった。
医者ライダーメンツの倫理観について、飛彩と大我の対応の違いならびに相手の属性できちんと明示しているのが丁寧で屈してしまった。

 

仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング 仮面ライダーパラドクスwithポッピー
パラドやポッピーの存在に対するアンサーが明示されているものの、それを差し置いて一番気になったのは、パラドと休日のお父さんファッションな永夢だった。本編で気になるゲームタイトルであったボーズ・オブ・テラについてこのスピンオフで回収されているのがびっくりした。作中ゲームとして表現されている中で一番実際にプレイしたくなるゲームだったので、早く売り出してほしい。

 

仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング 仮面ライダーゲンムVSレーザー
雨が印象的に用いられることの多いエグゼイドにおいて、貴利矢さんと永夢のシーンも例外ではなかった。韓国映画か?と思ってしまうようなカットを非常に鮮明に覚えている。そして、ニチアサ本編ではやれなかったんだろうなと思ってしまう檀黎斗のやりたい放題っぷりに、TLで見聞きしていた彼の言動とようやくつながったのだった。

 

・小説 仮面ライダーエグゼイド ~マイティノベルX~
顔が死んでる永夢先生が好き!という話をフォロワーにしたら「紙媒体で是非読んでください」とオススメされたのがこのノベライズだった。
これまで私は、永夢について本編とトリロジーを踏まえてパラドに対する父性を感じていた。休日のお父さんのようにパラドとゲームしたりしてたし。半身で2人でひとつでありながらも、擬似シングルファザーとしてある種親のように接しているように見受けられたので。
だが、その印象が小説の永夢がそもそも父親に育てられて縁が切れているという描写に繋がるとは思っていなかった。なんだそんなことするんですか?
パラドに対してはある意味家族のような情を抱いてるから父のような側面が出ているのかなと思っていたのに、それがセルフケア文脈というか「父親から過去の自分が与えられなかったもの」を与えて過去の自分自身も「治療」しているという文脈になってしまい、怖すぎて泣いた。
しかしゲームを題材にしたライダーだからこそノベライズもゲームブック風になっているなど、細部まで練られていて、読んでよかった一冊だった。

 

フォーゼ

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→違った

 

フォーゼは「星座の怪人がいること」と「福士蒼汰が1号で吉沢亮が2号」くらいしか事前情報のないままみることになった。
そんなほぼまっさらな状態で見始めてすぐ、圧倒的陽の主人公の「俺はこの学校の全員と友達になる男だ!」という自己紹介、そして愉快な仲間たちと仮面ライダー部で学園の平和を守るという設定、プロメア書いた人の脚本だ〜!!!と納得してしまった。

高校生で仮面ライダーというのはジオウのソウゴ(前半)もそうだったが、仮面ライダーに変身し守るものの範囲、背負っているものは「学校」ならびに「高校生」の範囲に留まっているのがフォーゼの面白いところだと思う。仮面ライダーが学生なら怪人もほぼ学園関係者で、非常に狭い世界の話なのである。
ライダーという概念に学校は小さすぎるのでは?という懸念を払拭するように、如月弦太朗という転校生が賢吾やユウキを中心として学校中の人間と向き合い友達になっていく過程がフォーゼとゾディアーツの戦いと近いところにある。宇宙というめちゃくちゃ広い概念に対して一対一で向き合える距離の話を合わせてくる両極端さ、それこそ「青春」でフォーゼの持ち味だなと思う。

ダークネビュラ行きになったやつらは結局どうなったの?とかいくつもの謎を残しながらも風呂敷を「卒業キック授与」で畳んでいくフォーゼ、畳み切れてなかったけど唯一無二の爪痕を残してくれるからなんだかんだいって結構好きだよ……

またフォーゼの明るくノンストップで青春していくし暗い展開があっても最後は弦太朗の光に負ける楽しげな作風に押し流されてあんまり気にしていなかったが、主役が一度死んでる(そして死因は2号ライダー)というのもかなり異質な点だと思う。555の草加ですら陰湿ないじめはするけど殺しはしなかったのに。本編中ではむしろ死んだのが悪い夢みたいな流され具合なのが怖いよ!他ライダーだったら疑心暗鬼と闇落ちルート直行じゃないのか…?
暗い展開と明るさが交互に襲ってくるのが、(脚本担当の芸風の差とはいえ)平成の凸凹らしくていいよね。

ちなみに私がフォーゼで受けた傷で最も深いのは「ヴァルゴの正体がバ美肉おじさんだった」なのだった。

 

仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!
宇宙規模でダチをつくる弦太朗さん、ブレがなさすぎてとても眩しい。私もダチにされてしまうラストに動揺しなかったといえば嘘になる……
往年の女スパイ概念の擬人化か?みたいな映画版オリジナルキャラが出てきたのは覚えているが、正直「ダークネビュラ行きにされた人たちのこと回収しないの…?」とずっと思いながら見てたのであまり記憶がない(ごめんなさい)。

 

555

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→当時は大学生だった

 

携帯の5のキーを3回プッシュして変身するライダーとしてなんとなく記憶にあったファイズ
ただ覚えてるのはその程度だったので、事前情報としてはフォロワーからの「綾野剛が出てる」しかないまま挑むこととなった。

OPが流れ、まず私の目に飛び込んできたのは「脚本 井上敏樹」。555はジオウキバ編の人がメインライターなのかな?くらいの認識だったが、もっとちゃんと確認すべきだった。
10話くらい続けたところで脚本担当が一切変わらないことに疑問を持ち、検索をかけてようやく「全編井上敏樹脚本のライダー」という555の真実にたどり着いたのだった。50話も1人で書いてたの、冷静に考えても筆早すぎない?(キバもほぼ井上敏樹脚本だが……)

555の第二の主役とも言える木場勇治が1話にして家も家族も恋人も自分の命さえも失いオルフェノクとして復活するという地獄のフルセットか?みたいな目に遭っていたのが衝撃的だった。そして彼はオルフェノクが人間を襲うことに否定的であったし、人間の死から生まれた存在であるオルフェノクと人間の戦いとして描かれるものの、正義と悪が属性と結びついていないややこしい作風になっている。
ライダー自体もベルト装着と条件を満たせば複数人が変身できる資格を持つのが面白い設定であり、そのせいで事実の誤認が起こり関係がめちゃくちゃになってしまうのもストレスフルではあるが555ならではだったと思う。

また、555は草加雅人に代表されるように、個性的な(婉曲表現)登場人物が多い。自分のエゴイスティックな思いにより周りを振り回したり陥れたり、仲間にいじめられた結果オギャったり……
見てる最中は「たっくんなんで草加にいいようにされてるんだよ!対話をしろ!」とキレたりしたものの、過程はともかくこういったエゴ等に基づく加害を行なった人間は悲惨な最期を遂げることになる。罪の天秤と罰の天秤が釣り合うような帳尻合わせをしてくるので、「なんで死ななきゃいけなかったの?」というより「まあ…死ぬよね……」ってタイプの死への向き合い方となるし、キャラクターの背負った罪に対しての容赦の無さが味付けとしてかなり好みではある。まあ身内を引っ掻き回したりする過程についてはイライラしたりするんだけども。
生き残ったメンツ(特にオルフェノク)はそれがとてもわかりやすくていいですよね。

 

・劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト
村上社長が生首生命体になってて元気が出た!パラレル作品という位置付けだけれども、本編と重なる部分とそうじゃない部分の差異が生きる演出上手いよね。
面白かったけど社長の生首に加点しまくった記憶が強くてその他の印象が薄れている……

 

ディケイド

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→本編見ても解決しなかった

 

ジオウに準レギュラーです!という顔して出てきた彼ら。ほぼ説明なくやりたい放題して帰っていったので、本編を履修したらさぞかし理解が深まるのだろうと思っていたが、さっぱりわからなかった。なんで?

ジオウが正史のライダーと出会い力を継承していく話なのに対してディケイドは元のライダーの文脈を維持した別の世界の話をやってくるので、節目の記念作品として二作品の系統がとても異なる、むしろ正反対なのがディケイドを見てまず驚いた点だった。過去のライダーの受け手となる物語構造のジオウに対して、ディケイドは各ライダーの世界へと旅をする(=侵攻する)構図になっているわけで、そりゃジオウの世界にも現れるよねってそこは納得がいった。

ジオウに比べてかなり「これまでのライダーを見ている人向け」に作られた作品であったので、正直一期きちんと見てから観るべきだったなと後悔はしている。やろうとしてることの半分も理解できなかった気がするし。
ただ、この時点で既に見ていた555の回は「ラッキークローバーをF4みたいにするんだ!?しかも1話しか出てきてないテニスを拾うの!?」ってかなり楽しんでしまった。このあと龍騎やキバを見たのちに見直したら本編との立場の差や共通する部分をきちんと把握できる分だけ話の理解度が増して面白かった。ファンガイアとの共存のその後の話に持っていくの、本編ではできなかったことだし味付けとしてすごくよかったよね。

また、ディケイドに関しては「おのれディケイド!」というネットミームは知っていたのだが、まさか帽子と眼鏡を装備した謎のおじさんがかに道楽みたいな巨大ガニに乗りながら発した言葉だとは知らなかった。結局あのおじさんはどういった人なんですか?

 

仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦
ラスト15分くらいのところで海東がヤケクソになって全てを敵に回してるのに宇宙猫みたいな顔してしまった。キャプテンマーベラスさんが割とディケイド側の人間でびっくり。

 

・劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー
実は大ショッカーのボスだった士!悪ボスやってるの似合うなって思ったら、ジオウでもはじめはタイムジャッカー側だったことを思い出した。そして、やっとここでオーロラカーテンの能力の話が出てきて、ジオウでのやりたい放題してた事柄に対する解像度が無事上がった。

 

仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010
ファイナルフォームライドで強制的に敵を武器変形してやっつけていく戦法、これまでの「武器変形でのレジェンドライダーとの協力プレイ」を真っ向から否定していくもので恐ろしさに震えてしまった。びっくりするくらい悪役ムーブをしてくるよね、士さん。
Wはほぼ見ていないので、話のなんとなくの雰囲気と真っ赤な照井さん(ゲイツスピンオフにも出てきた)を認識して終わった。W見てからきちんと見直した方がいい気がする。

 

龍騎

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→全然違った

 

龍騎はジオウのゲスト出演回がアナザーリュウガ編で、鏡の中の自分の負の側面と向き合う話だったので、てっきり鏡の中の自分と戦うライダーなのかと思っていた。
全然違うじゃん!?
13人のライダーがミラーワールドで最後の1人になるまで戦うというバトロワライダーというのは1話で初めて知ったよ……

バトロワモチーフであるので、かなり死人が多くなんならライダー全員死ぬが、やはり強烈だったのはシザース退場回である。それ以前に壁に死体が埋まってる時点でこれは絶対楽しいライダーだぞ!と思ったが、さらにモンスターに食われて退場するライダーをぶつけてくるから好きにならざるを得なかった。

小林靖子井上敏樹が交互に襲ってくる構成で書き上げているので、個性がそれぞれ発揮されている振り幅の大きい作風であり温度差がとても癖になる作品だった。最たるものは29, 30話で城戸秋山北岡中心トンチキギャグ回を繰り広げた後のモンスターに食われかけの浅倉と少女回である。同じ作品か?って二度見してしまったが、それぞれの脚本が全然違う味付けでありながらも最終的には綺麗に収束していくのでいい意味での凸凹かつエンタメとして楽しいライダーになってるなと思う。

戦う目的が大切な人のため、自分のため、単に戦いたいからなどそれぞれであり、かつ戦いを止めたい城戸や手塚でも向いているほうこうは違うし、共闘をしていてもわかりあえる部分/わかり合えない・譲れない部分がそれぞれのキャラクターで明示されていて、そこがバトルの生死につながっていくのが面白いところであった。

あまりにも楽しくて爆速で見ていたら耳鳴りであの音が鳴るようになってしまったのでそこはちょっと反省してる……

 

・劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL
この作品を見たことでやっとリュウガが何者なのか理解することができたわけだが、このイレギュラーな存在をわざわざ2019年にメインに据えて出してきたことに改めて驚いてしまった。
新ライダーのファムも浅倉に縁があるし、当たり屋どころの話じゃない浅倉、元気いっぱいで楽しげでよかった。

 

・RIDER TIME 仮面ライダー龍騎
17年ぶりのミラーワールドの反動か、全員の感情が10割増しな作品だったと思う。芝浦と手塚は顔を知ってる程度の仲から関係が発生してたし……
2019年のCGでミラーモンスターたちがみられたのがすごくうれしかった。エビルダイバーが人喰ってるシーンが好きです。

 

鎧武

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→だいたいそう

 

虚淵玄が脚本ということで嫌な予感しかしなかった鎧武。ジオウに出てきた佐野岳が一般人スタイルと神っぽいスタイルの2形態で出てきたため、見る前から「この人がまどかなんだな!」と勝手に納得していた。

最後の1人になるまで戦って「運命」を選ぶ話であるが、龍騎の直後に鎧武を見たため、ライダーバトルの要素が受け継がれているのがかなりわかりやすかったように思う。
フルーツが上から降ってきて変身するトンチキ要素と、運命に翻弄される「こども」と「大人」の重たい話が共存しているのが鎧武の味としてわりと好きではある。
主人公が変身して最初に倒したインベスが実はずっと探していた失踪した友人だったという運命を1話で既にやってくるのがエグみたっぷりだし、脱落していくライダーが凄惨な死を迎えることが多いのも脚本が絶好調すぎて笑ってしまった。

また、紘汰やミッチをはじめとするこどもの未完成さ/未熟さはわかるものの、大人にも欠落した部分が存在してそこが命取りとなっているのはかなり面白い点だった。
たとえば、厳格な兄として登場したはずの貴虎が、ミッチが実はライダーだったことを知って激怒するかと思いきや許してしまうなどの激甘ムーブをして挙げ句の果てに裏切られてしまったり、正しくても「甘さ」が弱さになりそこを突かれてしまう厳しさがある。
これほどまで変身が楽しげで良かったと思ったライダーはなかった。どんなに暗くても「大・大・大・大・大将軍!」の音声でちょっと元気出るし。

 

・てれびくん超バトルDVD 仮面ライダー鎧武 フレッシュオレンジアームズ誕生!〜君もつかめ!フレッシュの力〜
戒斗の中の人の力が強すぎて元気になる。もうこれ戒斗というより中の人だよ。

 

・劇場版 仮面ライダー鎧武 サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!
突然サッカー大戦になってびっくりした。ライダーに変身してサッカーするの、超次元サッカーってレベルじゃない。

平成ライダー昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊
ディケイドの味がするクロスオーバー映画。鎧武がメインであるものの、555メンツの関係性が死者の未練と呪いという点で作品のテーマに寄り添っていて味わい深かった。
1号ライダーの呪いの概念として存在する2号ライダー、最悪すぎてびっくりしちゃったよ。なあ、草加……
巧の自分に対する肯定感の低さと悩みがちなメンタルを久々に見て、その優しさと弱さに容赦なく付け入ろうとする草加(本人というより悪霊みたいなものではあったが)に、彼のたどった末路を再度思い出すのだった。

 

・鎧武/ガイム外伝 仮面ライダー斬月/仮面ライダーバロン
斬月は相変わらず貴虎兄さんが甘くて安心した。判断は出来る人なんだけど……
また、バロンパートは中の人っぽい戒斗のそっくりさんを無から生やすという力技に屈してしまった。そんなことやっていいんですか!?

 

・鎧武/ガイム外伝 仮面ライダーデューク/仮面ライダーナックル
凌馬とユグドラシルメンバーの出会いが描かれていた中で、一番びっくりしたのがシドが「ヤクの売人」ときちんと設定されていたことだった。ロックシードの売人ってヤクの売人のメタファーでは?って思っていたので。
ナックルでは、戒斗が思った以上にやりたい放題やってて面白くなってしまった。ダンスに乱入して乗っ取るな!

 

・鎧武/ガイム外伝 仮面ライダーグリドンVS仮面ライダーブラーボ
冒頭で凰蓮のスマホを爆発させる貴虎兄さん、絶好調すぎて元気が出た。相変わらずのシャルモン師弟、ピンチに駆けつけてくれる初瀬ちゃん、そしてカチドキアームズで出てきてくれる貴虎兄さん。2020年に盛り盛りの新作スピンオフが見られるとは。

 

キバ

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→名護さんが最高の世界です!!!

 

グリスの武田航平が出てる・昼ドラという事前情報だけ入れて見始めたキバ。ほぼ井上敏樹じゃん!!!というのでまず衝撃を受けたのだった。

気弱な渡がキバットによってキバに変身して戦うという設定によって、キバは仮面ライダーというより魔法少女では?と思ってしまったため、キバットに対して「コイツあとで裏切ったりしないよな…?」という気持ちがなかなか拭えなかった。ごめん。

過去と現在がリンクしていて、それを繋ぐのが敵であるファンガイアという設定と構成がかなり独特で、慣れるまでわりと時間がかかったが、慣れれば味として楽しむことができた。
また、昼ドラと言われていた通り、恋愛が作品の中心に置かれていたのにはかなり驚いた。
555や龍騎を見た後だったので井上敏樹産の恋愛にある程度慣れてはいたが、キバは泥沼異性愛進行シーンが多すぎて、日曜の朝に見たいか?と言われたら微妙だなとも思った。不倫を!!するな!!!
異性愛周りを外れると純然なトンチキが現れるので楽しいのだが。名護さんとか。

名護さんは当初、草加雅人文法の人間だと思っていたので、エゴイスティックな行き過ぎた正義感を振りかざしすぎた結果、因果応報で殴られて死んでしまわないか心配だった。序盤はずっと「名護さん死なない!?」しか言えなかったし。
そんな彼がボタンむしり野郎を経て遊び心を身につけて愉快な人になって死亡フラグをへし折り、異性愛描写にトンチキを添える素敵なキャラになってくれて本当によかった。イクササイズ、Spotifyで聴いてます。

キバ面白かったんだけど、50話近くある中のラスト1分くらいしか出てこない正夫に最終的に全部持っていかれてしまった。なんなんだあいつ。

 

・劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王
お兄さんが白峰さんという別人で登場してきてびっくりしたし、名護さんのこといびっててさらにびっくりした映画。過去と未来のタイムスリップあり、共闘あり、なんでもありの楽しげな作品になっていた。相変わらず音也パパはやりたい放題している……

 

ドライブ

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→泊進之介巡査でした

 

ジオウ客演組が剛とチェイスの話ばかりするのでこの2人の話だと思ってたドライブ。でもOQに出てきた稲葉友はマッハって名乗ってるしドライブじゃない?ドライブは誰?って当時めちゃくちゃ混乱していた。
主演は竹内涼真でした!!!全く知らなかったよ…ごめんね……

機械生命体のロイミュードと人間の戦いという始まりから、ロイミュードを生み出した「悪意」と主人公たち「正義」の対立へ収束していくのが面白くて悲しいライダーだった。機械vs人間じゃなく、機械を作り出した怪物vs正義の側なんだよね。ロイミュードたちは加害者の立場であることすらも被害者であることの証明になっているのが本当に悲しくて仕方がない。
ハートが特に象徴的だが、人間への憎しみや怒りは話が進み真相が明らかになるにつれて、こういう感情を持ってしまうのは仕方ないよねと復讐心へ寄り添いたくなってしまうし、彼の仲間(ともだち)に対する誠実さと慈愛は非常に純化された感情で、「なんで彼と対立しなければならないのか」という気持ちになってしまう。ブレンもメディックも同様である。しかし彼らが選ばなくてはいけない立場が「人間と生きるか」「人間に勝って支配するか」の2択なのが苦しいし、常に選択や争いをしなくてはならないのはマイノリティというのをさりげなくやっているよね。

また、進之介は警察という正しさの象徴として誠実に敵にも味方にも向き合っていくわけだが、例外はあれど基本的には突っ走らない・考える・視野を広く持つ(実質探偵役)というめちゃくちゃ真っ当な大人でびっくりしてしまった。権力を持った体制側というのにある程度自覚的というか。
そんな地に足のついた主人公に対してまっすぐ突っ走り、悩み、後悔をする「こども」としての立場が剛であるのがバランスが取れてて面白いとも思う。直面した壁に苦悩し、乗り越える伸び代をみせながらも、ラストでのチェイスへの「ダチ」の件みたいに後悔を背負いながら生きていく、ジオウの名乗りの時点では想像つかなかったしなんなら登場回のトンチキステージ名乗りの時点でも想像がつかなかったキャラクター性をしていてすごい。

前半の刑事ドラマ形式の物語展開と、後半の機械生命体と人間と「悪意」そして父親に中指を立てる話がうまく融合して共存していてとても見やすく楽しいライダーだったと思う。

 

・劇場版 仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー
息子、真剣佑みたいな顔してるな!と思って見てたら本当に真剣佑でびっくりした。竹内涼真内田理央の顔をした夫婦の子供が真剣佑の顔してるの遺伝子が強い。
また、本編中チェイスの斧でベルトを破壊した剛のシーンがあったが、劇場版でも進之介がチェイスの斧で破壊していて「こういう文脈だったのか!」と膝を打った。

 

仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦 フルスロットル
鎧武がドライブに「神様みたいなものかな」と言ってしまったことからずっとカジュアルに神様呼びなのがトンチキな味付けでとてもよかった。シートベルトの締めかたがわからなくて世話を焼かれる神様のわちゃわちゃ感など、クロスオーバーの楽しさてんこ盛りという映画だった。鎧武は本編後の彼らが補完されているのが嬉しかったし、ドライブはマッハ登場前の世界なのでちょっと寂しかった。追跡!撲滅!恋しいよ!

 

・ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー
とにもかくにも爽やかお兄さんなチェイスが出てきて動揺してしまったし、チェイスといえば飲み物吹き出しネタとして定着しつつない?
ロイミュード初期幹部メンバーの3人が、立場は変われどそれぞれを認めて敬意を持っていることが描かれていたのがすごくよかったし、ハートの「ともだち」への思いが必ずしもロイミュードに対して求心力となっているわけではないこともかなり面白い視点だった。

 

・ドライブサーガ 仮面ライダーマッハ/仮面ライダーハート
前半は常時トリニティ状態のハートとブレンとメディックという超展開が繰り広げられ、ひたすら困惑してしまった。そんな蘇り方ある!?
しかし現さんとのバディや「強さとは何か」に持ち前のまっすぐさで答えを出していくハートにはグッときてしまったし、うたかたの夢ではあるものの本編後の彼らがもう一度楽しそうにしているのが見られて本当によかった。
後半は「怪物の子ども」として本編では鏡写しのように描かれていた剛と令子のその後が描かれていて、前に進む話として綺麗にまとまっていたと思う。が、令子とキスしながらチェイスへのモノローグ流してくるのはちょっと流石に令子に怒られた方がいいよ………

 

・スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号
歴史改変ビームって何!??
ショッカーによる「存在しない歴史」の話という真面目な題材と上記のようなトンチキが入り混じった不思議な手触りの映画だった。ショッカースタイルな進兄さんめちゃくちゃかっこいいね。
ライダーは悪である世界の中でも彼らの正義が波及していくのはライダーへの讃歌であり平成凸凹文脈を感じ取れてよかった。しかし、その中でも剛が作中で死んでしまったのが衝撃的だった。生きながら後悔していくタイプの人間だと思ったので、笑顔の遺影を見て泣きそうになってしまったよ。


おわりに

令和の世にここまで平成ライダーを履修するとは予想もつかなかった。けれどそれぞれの凸凹な平成の味とネットミームへの理解を得て、ツイッターライフの質が上がったように思う。人生楽しくなれるコンテンツに出会えてよかった!

そしてちょうど履修が一段落した後に告知された、2月のRIDER TIME新作のジオウとディケイド、めちゃくちゃ楽しみだ〜!!!!このためにライダーを履修し始めたのかもしれない、ありがとう平成。

平成33年も楽しくライダーを履修したいと思います。次はOOOかな……

それでは!